アメリカの農村作家、故ローウェル・デイビスの、手の平に乗るミニチュア・ドッグシリーズを紹介しています。彼の作品は膨大ですが、レシン・ミニチュアの先輩である英国の「ボーダー・ファイン・アーツ」(Border Fine Arts)から販売したものはごく少数です。
この如何にも田舎風のハウンドの作品、「滴る水道の下の蛙を見詰める」「テディベアのぬいぐるみを破く」とこれが3部作?と言えるでしょう。これにハウンド犬の母親のお乳に8匹の子犬が齧り付いた「母と子」を加えた4種をこれまで出品してきました。。
取り敢えず、ラスト・ワンです。
Long Long Ago、幼い頃のワタシは高知県の奥物部にある父方の父方の家に止まりに行かされていました。厳格な小学校の校長先生で、同じ教師だった長男であるワタシの父は、学期休みにはまるで人質の如く、我が長男を煙たい親父のもとに一人で遊びに行かせていました。
山の合間の少し高い位置に日当たりの良い田舎家があって、そこには何時も小さな猟犬が縁側下に繋がれていた。時に訪れる幼児をこの犬がよく覚えていて、尻尾を振って歓迎してくれた。爺さんは猟銃を持っていて、鳥撃ちが趣味であった。犬も好き。
この犬は撃ち落とした鳥を回収する、イングリッシュ・コッカースパニエル。少し小さなコッカーの雑種であったろう。
小学1年生の夏休み。いつものようにコヤツを引いて国道を散歩。母屋への階段を上がろうとして、リードから話してやったら、凄い勢いで駆け上がった。後を追ったら、バタバタという音がして、犬はおらず、大きな鶏が倒れている。
コッカーがアタックして倒し、山へ逃げた。卵を取っているおばあちゃんに叱られるのを覚悟してのFirst Offenceだった。この機会を待っていた。それは幼いワタシにも伝わっていた。
英国ボーダー・ファイン・アーツ(Border Fine Arts)は、1980年から1989年にかけてアメリカの農村芸術家、ローウェル・デイビス(Lowel Davis)が作ったミニチュアのレシン・フィギュリンを販売しています。
Border Fine Artsに触発され、彼らのフィギュリンより二まわりは小さいミニチュアのレシン人形で同様の犬たちや農村風景などを製作販売してアメリカで人気を集め、農村作家として有名でした。推測ですが、こうしたフィギュリンを販売する際に、先輩であるB.F.A.のリーダー、Ray Ayresに作品を見せて販売法の相談をしたのだろうと思います。
レイはこの人の犬たちを見て大層気に入ったんだと思う。犬の形を正確無比に作り、犬を文化として残そうという滅茶真面目で硬いレイの作家姿勢に対して、不真面目というのではなく、農村にいた雑種の犬の暮らし、そこからにじみ出る暮らしの情感。そして何より、英国人には真似できないようなユーモア。
その魅力に惹かれたレイが、犬のフィギュリンをBorder Fine Artsから販売する協力を申し出たのであろう。この頃はBorder Fine Artsは
「シシリーの妖精」やピエロ像など外部作家を招いて製品の種類を増やそうとしていたとき。自分等が作る犬とは全く別種の魅力に溢れた「アメリカの農村の犬」を歓迎した。