灰夜 新宿鮫7 (カッパ・ノベルス) 新書 大沢 在昌 9784334074180

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4作目の『無間人形』での直木賞受賞をはじめ、ハードボイルド作家としての大沢在昌の地位を確立したとも言える、長編刑事小説「新宿鮫」。元キャリアの鮫島警部が国際都市新宿を舞台にはびこる悪と孤軍奮闘するさまを、力強く描いた人気シリーズである。本書はシリーズの8作目であるが、先に毎日新聞社から発刊された『新宿鮫 風化水脈』よりも事件発生が前に設定されているため、「新宿鮫Ⅶ」となっている。 元同僚・宮本の自殺から6年。彼の郷里で行われる7回忌法要に参列するため、鮫島は東京を発った。しかし、宮本の旧友・古山と酒を酌み交わした夜、何者かの襲撃を受け拉致されてしまう。古山のはからいで解放されたものの、身代わりに古山が監禁される。麻薬取締官、暴力団、北朝鮮工作員…。背後にうごめく巨大な影。頼れる者のない見知らぬ土地で、一晩語り合っただけの人物を救うべく、熱き男が奔走する。 今回の“鮫”は、異色である。まず、舞台が新宿ではない。会話の中に盛り込まれた土地の方言が、前作までにはない郷土色を出しており、新鮮である。また、恋人の晶や桃井課長ら、おなじみの脇役たちは登場しない。代わりに、“新宿鮫”誕生の経緯が回想の形で表されている。つまり、シリーズを通読していなくとも、本書単独で十分に楽しめる内容なのだ。一方、シリーズに一貫して描かれている、腐敗した警察組織への、理不尽な暴力への、金のためだけに生きる犯罪者たちへの、鮫島の怒りは、心のどこかで「勧善懲悪」を願う我々の想いをいつもどおりにすくい上げてくれる。(冷水修子)
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